卒業研究
公共図書館Web OPAC利用の現状と問題点
筑波技術短期大学視覚部情報処理学科3年 杉田正幸
0.はじめに
今回、「都県立図書館Web OPAC利用の現状と問題点」というテーマで卒業研究をすることとなりました。つきましては、視覚障害者・晴眼者問わず、多くの方にWeb OPACを利用していただき、便利な点・問題点・改善点などを明らかにしたく思います。
下記の研究内容に理解していただき、協力いただきたくお願いいたします。
1.視覚障害者の情報環境の変遷と研究の目的
近年の情報処理機器のめざましい進歩は、視覚障害者に大きな変革をもたらしている。パソコン画面の音声化・点字化・拡大表示化などが実現することにより、今まで情報障害者であった視覚障害者も少しずつ健常者に近い情報処理が可能になった。一例を挙げれば、視覚障害者の間でもインターネットの普及がめざましく、新聞記事・雑誌記事などの各種オンライン情報へのアクセスが可能となった。(文献*1)
一方、図書館サービスを考えた場合、多くの公共図書館・大学図書館がインターネット上での情報提供を開始し、その一つとしてWeb OPAC(Online Public Access Catalog)によるオンライン利用者用目録(オンライン閲覧目録)の検索が可能となった。(文献*2)視覚障害者もパソコンの画面音声化ソフトとWebブラウザを利用し、多くの図書館情報にアクセスが可能となった。
しかし、最近のWebの発展は視覚障害者にかならずしも利用しやすいものばかりではない。Web OPACの一部には音声化ソフトでは対応できないものもあり、折角の貴重な情報源にアクセスできない場合がある。(文献*3)
現在、視覚障害者の主なWeb利用手段として用いられるものには、
1.Windows用ブラウザ
(1)ホームページ・リーダー (日本アイ・ビー・エム)
(2)眼の助(がんのすけ) (富士通東北海道システムエンジニアリング)
(3)VoiceExplorer98β版(大阪府立盲学校情報処理科横田陽)
2.テキストブラウザ
(1)LYNX
(2)LOUK (渡辺誠)
(3)VoiceNET (システムクリエイト)
(4)VEGA (アメディア)
(5)BiglobeやAsahi Netなどのパソコン通信系テキスト表示サービス
(6)福島盲学校や山梨大学などが提供するLYNX MAILサービス
などが考えられる。
これらのWebブラウザで都県立図書館のOPACを視覚障害者に利用してもらい、視覚障害者の利用の問題点を探る。また、晴眼者や弱視者にもNetscape NavigatorやInternet ExplorerなどでOPACを利用してもらい、これらの人からの利用の問題も探る。その上で全ての人が利用しやすいWeb OPACについて考察する。
2.対象OPAC
1998年8月現在、全国の都道府県立図書館で10都県立図書館がWeb OPACを採用しており(文献*4)、今後さらに増加して行くと期待される。しかし、ほんとうに利用者にとって使いやすいシステムであるかというと疑問が多い。それぞれのOPACを利用していただいて分かると思うが、検索入力方法、出力結果表示がさまざま・・・。利用目的・利用者によって評価もさまざまであると思う。そこで、下記の都県立図書館蔵書検索を実行して問題点を杉田まで報告していただければ幸いです。多くの方の協力をお願いいたします。
3.調査内容とWeb上での調査
本研究は筑波技術短期大学視覚部情報処理学科3年杉田正幸のホームページ(http://www.cs.k.tsukuba-tech.ac.jp/stu/962304sm/welcome.html)上で実施する。(既に終了しているのでリンクなし)1998年9月14日現在、全国10都県立図書館トップページとOPACページへのリンク集を作成し、公共図書館蔵書検索利用結果アンケートページを作成した。
「卒業研究トップページ」(http://www.cs.k.tsukuba-tech.ac.jp/stu/962304sm/sotsuken.html)
「卒業研究概略説明ページ」(http://www.cs.k.tsukuba-tech.ac.jp/stu/962304sm/intro.html)
「公共図書館蔵書検索リンク集ページ」(http://www.cs.k.tsukuba-tech.ac.jp/stu/962304sm/public.html)
「公共図書館蔵書検索利用結果アンケートページ」(http://www.cs.k.tsukuba-tech.ac.jp/stu/962304sm/anketo.html)
上記の私のホームページから10都県のOPACを利用していただき、よかった点・問題点などを電子メールまたは上記のアンケート入力ページから報告していただきたい。
電子メールでの報告の場合、下記の項目についてコメントをいただきたい。
(1)視覚障害者・晴眼者の別
(2)パソコン歴・インターネット歴・パソコン通信歴など
(3)普段利用しているWebブラウザ名と今回利用したWebブラウザ名(Netscape Navigator・Internet Explorer・ホームページリーダー・LYNX・VEGAなど)
(4)普段検索する時に検索対象とするもの(書名・著者・出版社・件名・NDC・ISBNなど)
(5)検索結果として必要とされる出力項目(書名・著者・出版社・件名・NDC・ISBN・貸出状況・返却予定日表示・貸出予約機能・解題など)
(6)蔵書検索を実行して利用しやすかった都県立図書館名とその理由(複数回答可)
(7)蔵書検索を実行して利用しにくかったまたは利用困難だった都県立図書館名とその理由(複数回答可)
(8)その他使って見ての感想や意見・改善点・要望など
(9)今後本研究で取り上げてほしい内容
アンケート送付・問い合わせ先
集計上の都合、Web上のフォーム入力(アンケート入力ページ)をできるかぎり利用いただければ幸いです。また、下記どちらかのID宛の電子メールにても受け付けます。
E-mail: 962304sm@cs.k.tsukuba-tech.ac.jp
sugita@mvb.biglobe.ne.jp
なお、本研究を基本的研究と位置付け、今後その結果を元にホームページ上でさらに詳細なアンケートを実施する予定である。最終的にはWeb OPACの現状と問題点を卒業研究としてまとめて行きたい。研究結果を各OPAC作成側にもフィードバックし、全ての人に使いやすいOPAC開発に役立てていただけるようにしたいと思う。
主な引用・参考文献
1.杉田正幸.つくば市立中央図書館アルスでの図書館実習を経験して.みんなの図書館.No.252, p.38-43 (1998)
2.日本図書館協会.図書館用語集.日本図書館協会 (1996)
3.杉田正幸.Windowsでインターネット.点字サイエンス.Vol.16, No.4, p.5-12 (1998)
4.日本図書館協会.公共図書館主要ホームページ一覧.図書館雑誌.Vol.92, No.5, p.356 (1998)
5.小田光宏.JLA図書館情報学テキストシリーズ(4) 情報サービス概説.東京,日本図書館協会,1997, 244p.