視覚障害者の間でもインターネット利用が増加している。
そのほとんどがインターネットの画面を音声で読み上げてくれるソフトの利用である。インターネットの情報は画像情報が多く、また、レイアウトを重視したページが多いため、音声変換技術にも限界があり、視覚障害者に読むことのできないページが増えている。
視覚障害者に読みやすいページの作成については一九九九年五月の筆者の『みんなの図書館』の記事を参考にしていただき、ここでは、そのようなページを作るために便利なツールを紹介し、多くの図書館のページ作成の際の参考にしていただきたい。
以下のツールを用いて自分が作ったページをチェックすることが必要である。自分の図書館がどれだけ視覚障害者に利用可能なものかチェックしてほしい。
(1)ホームページビルダーの
アクセシビリティチェック機能
ホームページ・ビルダーは日本IBMから発売されているホームページ作成ソフト。このソフトには視覚障害者が音声変換して読み上げた際に問題になる項目について診断してくれる機能がある。
具体的には、ページ全体としては、ページタイトルの有無、言語指定の有無、新しいウィンドウを開くリンクの有無、WAVファイルの使用の有無、ループ再生の有無、をチェックすることができる。その他、フレーム関連、画像関連、表関連、フォーム関連、title属性の有無、代替テキスト(Alt)の有無などをチェックすることができる。ホームページ・ビルダー6.0と6.5でほぼ同等の機能がある。
(http://www.ibm.com/jp/software/internet/hpb/)
(2)I-Checkerの利用
I-Checker V. 1.0では、ホームページの内容を音声合成で読み上げる際、もっとも問題となる以下の四項目について自動診断。また、ローカルのHTMLファイルのアクセシビリティを診断するプログラムとして、Personal I-Checkerがある。
@画像リンクにコメント(Alt属性)が書かれているかどうかチェック。
Aタイトル情報が書かれているかどうかチェック。
Bクライアントサイド・イメージマップのareaにコメント(Alt属性)が書かれているかどうかチェック。
Cサーバーサイド・イメージマップが使用されている場合、警告を出す。
(http://www-6.ibm.com/jp/accessibility/webaccess/i-checker.html)
http://www-6.ibm.com/jp/accessibility/soft/download_etc1.html#navskipにリンク変更
(3)ウェブ・バリア・ファインダー
日本IBMの一〇〇%子会社である株式会社インフォ・クリエイツが製作。
WAIに準拠したチェック、修正はもちろんのこと、実際にホームページ・ビルダーで聞いてのチェックなども行う。画像にAltテキストが用意されているか、イメージマップのリンク先にAltテキストが用意されているか、サーバーサイドイメージマップが使用されているか、タイトルが用意されているか、scriptタグに対して、noscriptタグが用意されているかなどをチェックできる。
(http://www.infocreate.co.jp/bf/)
(4)J-WAS
「みんなのウェブ」として公開。総務省、ウェブアクセシビリティ作業部会が提供しているHTMLのアクセシビリティ診断プログラム。WAIのアクセシビリティチェック項目に加えて日本の特徴や固有の問題を追加して作成したもの。パソコンとiモードのページを診断できる。HTMLの修正機能もある。
(http://www.jwas.gr.jp)
(5)ボビーの利用
ボビーはウェブページのアクセシビリティとHTML仕様との適合を分析するツール。これはCenter for Applied Special Technology(通称 CAST:キャスト)が開発したもの。
ボビーには二種類あり、ボビーのウェブ・バージョンではインターネットのページでURLを入力し、 オンラインでレポートを得ることができる。もう一つは、ボビーをダウンロードして開発中のウェブページに対してテストすることもできる。
(http://www.cast.org/bobby/)
(6)Microsoft Internet Explorer 5.0および5.5
イメージをオフにして、Altテキストを表示させ、音声読み上げと同じ状況を作る。
@[ツール]―[インターネット・オプション]―[詳細設定]
Aユーザー補助セクションで「常にイメージのAltテキストを展開する」を選択。
Bマルチメディア・セクションで「画像を表示する」の選択を解除。
(7)ホームページ・リーダーなど音声読み上げソフトでの確認
音声でWebの内容を読み上げるソフトのお試し版やフリーソフトを利用する。以下は、ソフト名、開発元、ホームページアドレスである。
@お試し版
このようなツールを利用して音声読み上げでも十分利用可能なページを各図書館が作ることを期待したい。
1.日本IBM.バリアフリーの扉.東京,日本IBM,(参照2002-01-05).
〈URL:http://www.ibm.com/jp/accessibility/〉
2.World Wide Web Consortium(W3C).Web Accessibility Initiativ.Cambridge,
Massachusetts,W3C(MIT,INRIA,keio),(参照2002-01-05).
〈URL:http://www.w3c.org/wai/〉
3.杉田正幸.杉田正幸ホームページ.大阪,杉田正幸,(参照2002-01-05).
〈URL:http://www.people.or.jp/~sugita/〉
4.Webアクセスを考える会.Webアクセスを考える会ホームページ.Webアクセスを考える会,(参照2002-01-05).
〈URL:http://thinkman.cup.com〉
(すぎた・まさゆき/大阪府立中央図書館)
杉田正幸.視聴覚障害者に利用しやすいページを作るためのツール.特集図書館とホームページ.みんなの図書館.No.299, p.52-55 (2002)