全盲の杉田正幸さん(通信教育部終了生) 府立図書館司書に採用 |
平成10年3月に通信教育部科目等履修生の図書館司書コースを終了した全盲の杉田正幸さんがこのたび大阪府立図書館司書として採用された。都道府県立図書館の司書として働く視覚障害者は東京、埼玉、千葉で5人いるが、西日本では初めて。
大阪府の今年度の司書募集では障害者のための特別選考がなく、杉田さんは一般選考で約500人の受験者の中、60倍を越える難関を突破した。
杉田さんは先天性の弱視で、中学生の時に視力を失った。埼玉県立盲学校を卒業後、鍼灸師として整形外科病院に勤務していた。しかし、「パソコン等の通信機器を利用すれば図書館サービスに生かせるのではないか」と考え、筑波技術短期大学に入学。本学の通信教育部にも入学し、図書館司書についての勉強を始めた。
スクーリングでは黒板の文字を点訳ボランティアに写して貰ったり、テストではパソコンを持ち込んだりと努力を重ねた。杉田さんは「図書館学に関する点字の専門書が少なかったため、ボランティアの方に苦労をかけた」と話す。
図書館実習は、つくば市立中央図書館で行い、貸出や移動図書館など多くの部門を担当することができた。その時の経験が「公立図書館で働きたい」という思いにつながった。
杉田さんは現在、府立中央図書館(東大阪市)に勤務。
「図書館司書の専門職を受験できただけで満足していたのに、合格できたなんて夢のよう。得意なパソコンを生かして、他の視覚障害者の励みになる仕事をしたい」と意気込んでいる。
この稿のWEB上への公開は近畿大学の許可の元、公開するものです。無断での転載・複製はご遠慮ください。